2018年1月より上海に赴任致しました。
私自身と上海との関りは学生時代の1995年頃に遡ります。フライトが少なくチケット代も高かったため、大阪・南港発の船で渡航しました。
当時は「東方明珠タワー」がお目見えしたばかりで、国際線のメイン空港は虹橋空港、浦東空港は建設中でした。繁華街である南京路にはまだ自動車が走っており、地下鉄に乗った記憶はありません。北京へ向かうのにも、上海駅から“特(別)快(速)”の汽車で約36時間かかっていたように記憶しています。
当センターへ入局後、日本からの中国への出張先としては上海が最も多い都市となりました。ここ数年は平均年3~4回訪問しています。
着任にあたり、上海駐在歴の長い方々にとっては特に目新しい内容ではないかと思いますが、敢えて約20年前を基準として「見当たらなかったモノ」を振り返ってみます。
1、電子決済サービスの普及
アリペイ(支付宝)、ウィーチャットペイ(微信支付)が普及し、スマートフォン決済が一般的になっています。最近は上海の地下鉄でもスマホを改札機にかざすだけで乗車賃を支払えるシステムが試行されています。
2、シェアリングエコノミー
例えばシェアバイク(モバイク等)、インターネットでの共同購入、地下鉄の貸し傘等があります。特にシェアバイクは社会現象となり、日本へもビジネスモデルが輸出され始めています。
3、商品の価格上昇と多様化
国家統計局が2月24日に発表した「2018年1月の70の大・中都市の分譲住宅販売価格変動状況」によると、上海の同価格指数は基準年である2015年と比べて145.1と高くなっています。
また、家電製品や家具、生活用品やアパレル等あらゆる一般消費者向け製品で多様化が進み、選択肢も拡がりました。
日系コンビニの進出も拡大し続けており、品揃えもよく、中国文化を取り入れた製品も多数見かけられます。一部店舗では交通カードのチャージや光熱費の支払い等にも対応しているほか、イートイン施設を備えた店舗も増加傾向にあり、特に日本人駐在員にとっては重要なライフラインとなりつつあります。
4、交通網の発達
現在、上海の地下鉄は15本、今後も拡張される計画です。
浦東空港は巨大ハブ空港となり、リニア・地下鉄で市内とのアクセスが飛躍的に向上。虹橋空港は主に中国国内便のハブとして活用され、隣には高速鉄道の「虹橋駅」が立地します。
また、市街地では1年ほど前に専用走行ラインを有するトロリーバス「71線」が開通。日本企業・機関が集中する長寧区から商業中心地である南京路一帯へ、渋滞を気にすることなく移動できると好評です。
5、その他
子供向け教育や、食事の配達(「餓了麼」、「美団外賣」等)などの現代サービス業が、競争の激しい一大産業となっています。
以上がすぐ思いついたものですが、その多くがインターネット技術の発展と応用にあるのが時代性であり、BtoBと合わせてBtoCの産業の発展が顕著であるともいえます。
上海ではこれからも新しい産業、新しいサービス、新しいシステムが各分野で構築されるでしょう。変化の激しい上海で、会員及び関係者の皆様のお役に立てるよう心新たに取り組んで参りたいと存じますので、宜しくご指導、ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。
皆様と上海でお目にかかれるのをを楽しみにしております。
中国事務所総代表 岡野涼子